岡本住建の家つくり
お施主様とともに お施主様とともに
全施主様 点検訪問
〈平成19年4月〉

 恥ずかしい話ですが、平成11年4月仲間と夜桜の宴の最中に あるお施主さん(F様邸)から, 私の携帯電話に「社長か、俺の家もって帰れ、こんな手抜き工事をして、金返せ、住宅金融公庫に言ってやるぞ、岡本住建を 県の建築事務所に建設業の資格をなくさせてやるようしてしまうぞ」と激しい苦情の電話、この方は当時2年前に注文住宅で建てて頂いたお客さん、お酒に酔うと多少口は荒っぽくなられるのです。
 私はその日は昼間に別のお施主様から、土間コンの亀裂のクレームと1日に二つの問題が重なり、これは困った、大変だと思いましたが、さて「このトラブルは会社にとって、私にとって何のプラスのためにやってきた問題かな」と思う習慣になっています。これはそれまでの人生勉強をした結果、少しずつ体に染み付いてきた繁栄の基本原理としての人生訓にしているのですが…。 当時 TVや 新聞 週間誌等で「不良工務店を暴く、手抜き工事はこのように探せ」とブームがありました。そのせいかと思われますが、自分で床下・天井裏をチェックされたらしい。
 ともかく、翌日早速 担当の現場監督、アフターサービス係をF様邸訪問、様子を見に行ってもらい、状況報告をしてもらいました。
結果は“黒”
当社が悪い
 天井裏の火打ち梁のあるべきボルトが一本抜けていた。しかしこのFさんは いろいろ建築完成引き渡し時に、私直々応対した方で当社とは好印象のお付き合いをして頂いている 建築関係の会社にお勤めの方です。
 翌日のしらふ では大工さん、監督さんに対して社長は「怒らんとおいてよ(叱るなよ)」と頭を下げられ 励まされ 昨日の見幕とは大違い。
 「一応天井裏から床下まで全部点検して不備な点は直しておいてもらえばいいよ」といわれ、その結果全ての点検の中で材木が乾燥収縮してボルト・ナットの緩み等が見つかり、その報告の中で「そうだ、それ以外のお施主さんで、このような問題はきっと有るかもしれない。自分がいかに現場の実情を知らないか」ということに気が付きました。
 岡本住建は昭和43年にナショナル住宅の代理店に加入しましたが、その後ナショナル住宅の建設部門が昭和54年に岐大ナショナル住宅(後のパナホーム岐大)として独立。私は、その岐大ナショナル住宅に20年在籍した後に、先代社長の急逝で岡本住建へ戻り、社長に就任したのでした。
 「他の家でも同じような問題はきっとあるだろう」と思い、「過去に岡本住建で建てさせていただいた全ての家を、全部 順に回るぞ」と宣言。 私(社長)、担当大工、監督、営業、アフタ-サービス担当2人の計6人、月に8軒から10軒、予め連絡を取合い、段取りをして「総合点検」と称して家の全てを2~3時間かけてチェックし始めました。
 私はこんなスマートな身体ですので、天井裏・床下へもぐるのはうってつけと勝手に思っています。そしたら思わぬことがいっぱい発見できました。
 点検の内容は外装の屋根、外壁、基礎の目視チェック、建具、水廻り(流し台・風呂・洗面・洗濯機周り)、天井裏、床下、床鳴り、サッシ調整等。
 その結果 天井裏の断熱材のズレ、天井吊の不備、クモ筋交いの釘の数、床下はごみ、断熱材の整備、束、根がらみ等の不備、給排水の目詰まり(不備) 等沢山の問題点が発生します。それは経年変化によるもので予防できないもの、工事不備のもの、ある程度予想してその対策を充分打っておけば、予防でるものと分けられます。
 しかし、私もショックを受けることがあったのですが、最大のインパクトは 、私の目の前で一緒に床下で吸殻、かんなクズが見つかり、天井裏で 工事不備を見て、直す大工さんでした。
 後日談で、あんな恥ずかしいことは無かった と大工さんが云っていたので分かったのです。
 しかし、全件廻ると宣言したことが、しばらくたつと、緊張感と、天井裏・床下をもぐる体力、岡本住建の過去のアフターサービスの不充分であった負の遺産。お施主様が「いまさら何しに来た」、「変な増改築の押し売りをするなよ」、「今までクレームを言っても直ぐ解決しなかったくせに…」、「社長に文句を言ってやろう」等々苦痛を感じるようになりましたのが正直な気持ちでした。
 しかし、いったん宣言したことが取り消せない社長という立場。そしてお施主さんの家から帰るとき、必ずよく来てくれたネと笑顔で送ってくださるということ、中には「こんなことする会社が 今時あるのか。私はよい会社で家を建てたなぁ。良かった。」と云って、言葉でお礼を言ってくださる方がありましたから訪問することが徐々に楽しくなってきたのです。
 ともあれ、結論として云えば、その後の工事が格段にすばらしくなったことと、現場管理者と、社長である私の姿勢がもっとも大きく変化したことだと思います。
 このお施主様訪問『総合点検』が協力業者の全体に大きな変化があり、現場監督の目の付け所が代わり、良くなる為の、恥をかきたく無いだけでなく、「どうだ俺の工事の裏の裏まで見てくれるなら、こんなに素晴らしいのだゾー」と競うほどに良くなったことでした。
 またお施主さんとのふれあいの中から、プラニング(間取り設計)の注意点、使い勝手等、営業設計担当者が建築後の実際の生活を隅々まで見て来れることが、また大きな勉強になりました。
 私は20年も前から 顧客満足最優先と云っていながら、「本当の顧客満足って知らなかったなぁ」と、お恥ずかしい話です。住宅建築の基本常識を遅まきながら理解できた次第です。以前よりもコストはかかるようになりましたが、本当に、どこに出しても恥ずかしくない、いい家が建つようになり、社員もいきいきと自信をもって仕事してくれます。まだまだ充分とはいえませんが、いい仕事を常に心がけることによって経営の不安がなんとなく無くなってきた、今10年以上経過したお施主さんの家でも行くのが楽しくなって来ました。
 今、あの1日に2人からのクレームはまさに「福、来たる」でした。何か悪いことが発生したら、これは「何のプラスのために来たのかな」と直ぐ思うことにもっと磨きをかけたいと思っています。 そうすれば不運は無い。

 そう云えば、よく「クレームは宝の山」と言います。そしてF様に心より感謝しています。
 ここ数年以内(総合点検を始めた以後)に建てた家は点検に行っても、建物自身が素晴らしくなり、営業担当者が自社商品に自信を持った営業ができるようになりました。また、資材メーカーの出入り業者の営業マンが 沢山の建築業者の中からから、我社を選んで家を建ててくれることなどが最もうれしいことです(少し手前味噌になりました)。
 今回社長を退任するに当たり、3年前までに建てて頂いたお施主様は全部総合点検を終了いたしました。次に社長をバトンタッチするにあたり、この点検を続けることを次の社長に託して…。


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